矯正歯科治療は、保険診療の適応外となる治療ですが、歯科の一分野として確立された診療分野です。そのために歯科医師は、大学歯学部で受ける歯科医学の教育において、矯正歯科学としてその歴史から理論・方法まで学びます。
しかし、そのときに学ぶのは、主にマルチブラケット法とよばれる矯正歯科治療の術式です。マルチブラケット法の特徴は、全ての歯の表面にブラケットとよばれる金属製、もしくはプラスチック製の金具をつけて、ブラケットの中心部にある溝にワイヤーとよばれる専用の針金を通して歯を動かしていくことにあります。この方法は、50年以上前にアメリカで考案された方法で、ほとんどすべての歯並びの治療に使えるほど優れた方法です。
矯正歯科治療といえば、一般にこれが一番にイメージされるほどに普及している方法です。
一方、矯正歯科治療においても新しい技術が日進月歩で開発されており、そうした新しい術式のひとつにアライン・テクノロジー・ジャパン株式会社が開発提供しているインビザライン・システムというマウスピースを用いた治療法があります。
インビザラインの新しい点は、マルチブラケット法と異なりブラケットや針金をいっさい使わず、マウスピースで歯を動かすことと、コンピュータで歯をどのように動かすかをシミュレートし、マウスピースを機械が自動的に作り上げるという点です。
大学で教える内容は年月が経って熟成された方法である場合が大半なので、インビザライン・システムのようなコンピュータに支援された全く新しい手法に関しては、歯学部での矯正歯科学の講義では、まだ教えていません。
何も知らずに、やみくもに使っているいのでは、矯正歯科治療を受ける側にとっては、不安でいっぱいになってしまいます。では、インビザラインを導入している矯正歯科医は、全く新しいコンセプトに基づいているインビザラインの理論や特徴、技術などをどこで、どのようにして学んでいるのでしょうか。
こうした点から、アライン・テクロノロジー社では、矯正歯科医を対象に、インビザラインを使った治療の特徴や適応などを理解するためのセミナーを開催しています。安心してインビザラインによる矯正歯科治療を受けていただくためにも、今回は、このセミナーについてまとめてみました。