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矯正歯科
2016.12.26

矯正前の抜歯で異常な痛みを感じたら 早めに受診すべきドライソケットの可能性

はじめに

歯列矯正を行うときに、抜歯が必要になることがあります。親知らずの抜歯はよくあることですが、矯正治療の場合、小臼歯など抜くこともあります。歯科医師としても、できれば歯を残した矯正を行いたいと考えますが、顎の大きさや歯並び、噛みあわせの問題などから抜歯が必要と診断します。

患者は抜歯と聞くと、不安を感じたり躊躇したりしてしまいがちですが、抜歯そのものはそれほど大変なものではありません。抜歯後の痛みもだんだんひいてきます。

しかし、治まるはずの抜歯後の痛みが逆に強くなる場合、異常が起きているサインのため早急に歯科医院を受診しなければいけません。では抜歯後の異常として、早急に受診しなければならない場合はどんなときでしょうか。

比較的軽めな抜歯後のトラブル

抜歯後の痛みは麻酔が切れるころから徐々に感じ始めます。抜歯をした日に痛み止めや抗生物質を処方されることが多いため、用法を守って服用してください。
小臼歯や上顎の親知らずの抜歯ではあまりありませんが、下顎の親知らずを抜歯した場合、隣接する歯から顎や隣の歯に痛みを感じることがあります。

特に親知らずが水平埋伏などの場合、難抜歯となるため顎などの痛みや腫れなどがしばらく続くことがあります。長い場合は1ヶ月ほど痛みが続くことがありますが、自然と治まります。ただし、下顎には太い神経が走っているため、親知らずの抜歯のときに神経に触ってしまうことがあり、後遺症として最悪の場合、痺れが残ることもあります。抜歯後いつまでも顎や唇などに痺れを感じる場合は、歯科医院に相談してください。

出血は抜歯後しばらく続きますが、自然と量は減ってきます。唾液に混じることで血がたくさん出ているように見えますが、血が滲むからと言って、うがいをしすぎないことが大切です。じわじわと血が滲む間は、滅菌ガーゼを小さく折りたたんで噛んでおきます。

頬の腫れや内出血も、下顎の親知らずの抜歯後ではよくみられます。日が経つにつれ、だんだん腫れや内出血も治まっていきます。

早めの受診が必要なトラブル
早めの受診が必要なトラブル

抜歯後は麻酔が切れ始めた頃から徐々に痛みを感じ、5~7日後くらいにだんだんと治まってきます。しかしいつまで経っても痛みが引かず、逆に痛みが増すようであれば、「ドライソケット」が考えられます。これは親知らずに限らず、抜歯後に起こるトラブルで早急に受診が必要となります。激痛を伴うこのドライソケットとは、一体どういうものなのでしょうか。

<激しい痛みが襲うドライソケット>
ドライソケットの特徴は、痛みが治まらず逆に痛みが増し、やがて激痛になることです。ドライソケットは口の中だけでなく、顔面や目の奥、こめかみ、頭などが痛くなり痛み止めが欠かせないほどの激しい痛みを伴います。

ドライソケットになる原因

ドライソケットは、うがいのしすぎや出血が少なすぎることが原因で起こります。抜歯のあとは少なからず出血を伴いますが、この血が「血餅(けっぺい)」と呼ばれるものを作り出します。抜歯後は骨が見えている状態であり、この血餅は、抜歯を行った部位を覆うかさぶたのようなもので、傷口を保護します。しかし血餅ができないと、骨が露出した状態で、激しい痛みや細菌感染などで回復までに時間がかかってしまいます。
血餅が出来ているかどうかは、目である程度確認できます。傷口に赤黒いものが見えると血餅が出来ていますが、白っぽいものが見えるとそれは骨で、血餅がうまく作れていない目安になります。

抜歯後に頻繁にうがいをすると血餅を作るために必要な血が流れてしまうため、うがいを出来る限り控えることが大切です。血が出ている間はどうしても気になってしまいますが、滅菌ガーゼなどを小さく折って噛んでおくと、次第に血が止まります。またうがい薬が処方されることがありますが、うがい薬には殺菌作用があり、口の中を清潔に保ちます。口の中を清潔にしておかなければいけませんが、うがい薬を使ったうがいは、1日3回、歯磨きの後に行うくらいで十分です。特に抜歯当日は口を軽くゆすぐ程度にとどめておいて下さい。

出血が少なすぎる場合も血餅ができにくいために、ドライソケットになることがあります。この場合、少し歯ぐきに傷をつけて血を出して血餅を作ることがあります。また、スポンゼルと呼ばれるコラーゲンで出来たスポンジのようなものを抜歯後の穴に詰めておくこともあります。このスポンゼルは自然に吸収されるものなので心配ありません。気になるからと言って、自分でピンセットなどを用いて取ることは絶対にしないで下さい。細菌感染の原因になってしまいます。

<血餅が正常に出来なくなる行動に注意 >
また、飲み物などをストローで強く吸うことも抜歯後は避けてください。痛みで食事がしにくいため、ついゼリー飲料などで済ましてしまいがちですが、強く吸うことで血餅を一緒に吸い込んでしまうことがあります。柔らかい食べ物を召し上がるようにしてください。

喫煙習慣のある患者は、抜歯後1週間は禁煙が必要です。喫煙することで酸素供給が少なくなり、傷の治りを遅らせるとともに、吸う行為そのものが血餅をはがれやすくしてしまいます。

また抜歯した日は飲酒や激しい運動、長風呂は控えてください。血流が良くなることで血餅が出来にくくなる可能性があります。またワーファリンなど、血栓予防の薬を服用している人も、血餅が出来にくくなります。抜歯前に必ずかかりつけの医師に抜歯の相談をして、可能であれば1週間ほど服用を控えてください。

傷口が気になるからといって、指や舌で触らないようにして下さい。歯磨きも、傷口周辺を傷つけないよう慎重に行いましょう。

異常な痛みの場合は、すぐに歯科医院へ
異常な痛みの場合は、すぐに歯科医院へ

このように、血餅は抜歯後の治癒過程において非常に大切な役割を果たします。血餅ができずにドライソケットになってしまった場合の痛みは相当なもので、強い痛み止めを服用しても一時しのぎにしかなりません。
痛み止めは基本的に1日3回が限度のため、痛み止めが切れると激しい痛みで体力も消耗してしまいます。

また露出した骨が細菌感染すると、重症化してしまいます。重症化すると、麻酔を行い感染した部分を掻き出す処置などが行われますが、処置後は相当な痛みを伴います。またレーザーを照射したり軟膏を塗るなど、治癒に時間がかかります。

抜歯後痛みが増してくるようなら、早めに歯科医院へ連絡してください。早い段階なら傷口の洗浄や抗生物質投与などで回復が期待できますが、激しい痛みになるまで我慢をすると、その分様々な負担がかかります。おかしいと思ったらすぐに歯科医院へ連絡することが大切です。

ドライソケットは自分で防ぐことができる

矯正や親不知の治療などで抜歯を行った際は、どこの歯科医院でも抜歯後の注意事項の説明があると思います。特にうがいをしすぎることがドライソケットのいちばん大きな原因となるため、極力控えてください。歯科医院の指示をきちんと守ることが、ドライソケットの予防になると言えるのです。

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