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矯正歯科
2017.01.25

矯正直後の歯根が痛いのは当たり前?原因となる歯根膜炎について

はじめに

歯ならびが良くないと感じたとき、矯正歯科を受診します。矯正歯科では、歯ならびをよくするために、歯に針金をかけたり、マウスピースを入れたりして歯を動かし、きれいな歯ならびにしようとします。その時「歯」特に「歯根」に痛みを感じることがあります。

なぜ歯根に痛みを感じるのか、その原因についてまとめてみました。

歯を動かすとはどういうことか?

実は歯ならびから外れた歯を指で押すと、押された歯が移動するという現象は、昔から知られています。なんと今から2,000年以上前の記録にもあります。矯正歯科治療でも歯を押して動かすわけですが、この原点にある考え方にはそれほどまでの歴史があるわけです。

<指で動かすことと矯正治療で動かすことの違い>
ところで、前述した様に指で歯を押すと誰であっても歯は動かせます。しかし、その加えられた力が一時的なものである限り、例え強い力であっても、加えられた力から歯を解放すると元の位置に戻ってしまいます。これを、”歯の動揺”といいます。

一方、矯正歯科治療では、弱い力であっても同じ方向に持続的に力を加えることで、後戻りしなくなります。これを”歯の移動”といいます。つまり、加えられた力が一時的なものか、持続的なものかによって異なるのです。

<歯と骨は直接接しているわけではありません>
歯は、頭の部分を歯冠、根の部分を歯根といいます。歯冠は見えていますが、歯根は顎の骨の中にあり、見えません。そして、歯根と顎は直接接しているのではなく、歯根膜という厚さ約0.25[mm]の薄い靭帯のような部分を介してつながっています。

歯根膜には、歯に加えられた力を感じる神経があります。例えば、食事中に小さな石や砂などのとても硬いものを気づかずに噛んだ時、無意識に口が開きます。これは、歯根膜が歯に加わった圧力を検知したことによる反射運動(無意識の動きのこと)です。

歯の痛みの症状について
歯の痛みの症状について

矯正治療のワイヤーなどの装置をつけたあとの痛みの感じ方には個人差があり、一概に述べることは難しいです。しかしながら、一般的には矯正装置を装着してから数時間で痛みが生じてきます。この痛みはおよそ2〜3日間続きます。特にかみ合わせた時の痛みが多いです。

この時の痛みを初期疼痛といいますが、耐えられない様な激しい痛みではありません。痛み止めを飲むほどでもない、もしくは飲むとしても、市販の痛み止めで十分コントロール可能なレベルの痛みです。そして装置を装着してから1週間程度で、痛みは解消していきます。これは、歯を移動させる際の生じた歯根膜の炎症は、歯に力が加わった直後が最も大きく、その後時間とともに歯根膜炎が改善するため、痛みが解消されると考えられています。

なお、もしもその後も長期間にわたり痛みが続くようなら、矯正治療のために歯にかけている力が大きすぎている可能性があります。

<子どもの場合>
痛みは、感覚的なものです。個人差がとても大きいだけでなく、年齢や矯正歯科治療に対する考え方などによっても影響されると言われています。一般的に、子どもは矯正歯科治療中に痛みを感じることはまれです。例え、痛いと感じることがあったとしても1〜2日ほどでほとんどがおさまります。

<成人の場合>
成人の場合は子どもとは異なり、比較的不快感を感じ易い傾向があります。成人の矯正治療では、矯正治療の装置をつけた時から、圧迫感を感じ始めることが多く、食事の時に軽い痛みがあるような状態が3日から7日間ほど続きます。ワイヤーの微調整を行っただけでも1週間程度続く軽い不快感などを生じることがあり、その際に食事ができないと訴えることもあります。

ただ、それでも1週間以上経過すると食事の際の痛みも全く感じることは無くなり、矯正の治療装置が付いていることさえ意識しなくなるような状態になります。そして、その後、矯正治療の回数を重ねるごとに、痛いと感じる頻度や日数は減少していきます。

痛みの原因について

矯正歯科治療で痛いと感じる原因は、歯を移動させることにあります。矯正歯科治療で加えられる力は強くはないけれども持続した力です。

歯にこのような力を加えると、力のかかる方向に歯の歯根膜は圧迫を受け、その反対側では引っ張られる作用が及ぼされます。このために、歯根膜が炎症を起こし、歯根膜炎という状態になります。継続的に力がかかり続けますが、弱い力なので時間とともに歯根膜炎も改善していき、数日で痛みは解消されます。こうして矯正歯科治療を受けると歯に痛みを感じるようになります。

なお、歯を動揺させる様な歯に指で押すなどの力が加わった場合、加えられた力の大きさによって歯根膜の厚みの範囲で歯は動きます。歯の移動と同じく、押された側の歯根膜は圧縮され、一方、反対側の歯根膜は伸ばされます。

しかし歯の移動とは異なり、加えられた力は一過性に過ぎず、歯根膜に一時的な圧縮と伸張が生じるだけで、力が解放されれば元に戻ります。ですから、歯根が痛いと感じるほどの負担は歯根膜には生じません。

まとめ
まとめ

歯ならびを治すために矯正歯科を受診しますと、矯正歯科医は矯正治療の装置をお口に装着し、歯に弱いけれども持続的な力をかけて、歯を移動させることで、歯ならびを治します。

歯の根である歯根には、歯根膜とよばれる薄い膜状の部分があり、歯はこの部分を介して骨に生えています。歯を移動させると、この歯根膜には、圧力が加わる側と、引っ張る力が加わる側が生まれます。そのために、歯根膜に歯根膜炎とよばれる炎症が起こります。

歯根膜には痛みを感じる神経があるので、炎症に伴い痛いと感じる様になります。これが矯正歯科治療で歯に痛みが生じる原因です。病的な歯根膜炎とは異なり、歯に加えられた力はあくまでも弱い力なので、数日で痛みを感じなくなります。

もしそうではなく、長期間にわたり歯が痛いと感じ続けるのであれば、その歯にかけられた矯正治療の力は強すぎる可能性があります。

しかし、この痛みは、年齢や個人により差がありますが、それほど強い痛みではありません。子どもの場合は痛みを感じることすらないほどです。成人の場合は、子どもとは異なり痛みを感じることがありますが、数日で解消されます。なお、治療に伴う矯正装置の装着時だけでなく、その微調整の時でも痛みが生じることもありますが、こうした痛みは、矯正歯科治療に通ううちに頻度や日数も徐々に減っていきます。

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