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矯正歯科
2017.01.31

後戻りしない矯正のコツ 前歯に影響しやすい親知らずを放置しない

はじめに

矯正治療は、状態によって異なりますが、歯や顎を動かすことに2~3年位、その状態を保つために1~2年位かかることから、それなりの時間とお金が必要となります。しかし、せっかくきれいな歯並びと良いかみ合わせになっても崩れてしまうことがあり、これを矯正の「後戻り」と呼んでいます。

ここでは、その原因の一つである「親知らず」について、説明したいと思います。

歯並びや噛み合わせをきれいにする歯科治療

矯正治療は、悪い歯並びやかみ合わせをきちんとかみ合うようにして、きれいな歯並びにする歯科治療です。矯正装置を通じて、歯や顎の骨に力をかけてゆっくりと動かし、歯並びとかみ合わせを整えていきます。

成長途中の子供は、顎を拡大する装置を使用することが多くありますが、成長期が終わった人へは歯の表面にブラケットというワイヤーを保持する金属を必要な歯に付けて行います。また、マウスピースを用いた矯正もあります。

矯正治療は、身体が元々もっている「骨の代謝機能」を利用して歯を動かします。一定以上の圧力がかかると吸収しようという現象を起こして、骨を溶かして圧力を軽減しようとします。また、スペースの空いたところでは、骨が新しく作られてスペースを埋める働きをもっています。歯は1か月で約0.3ミリしか移動することができないので、矯正治療は時間がかかるのです。

逆に、歯を動かす期間が終わり矯正装置を外すと、この時点ではまだ骨がしっかりと安定していないので、元の位置に戻ろうと「後戻り」することが往々にしてあります。そのため、きれいな歯並びが安定するまで、今の状態を維持しなくてはなりません。

保定装置という取り外し式のリテーナーというものやマウスピースのようなものを入れたり、歯の裏側にワイヤーをつけて隣同士の歯をつなぐなど行い、経過を観察します。

親知らずが手前の歯を押すと前歯の歯並びに影響する
親知らずが手前の歯を押すと前歯の歯並びに影響する

親知らずは、上下左右7本ずつ生える永久歯のそれぞれ一番奥に生える歯で、「智歯」「第三大臼歯」「8番」(中心から数える)とも呼ばれます。思春期後半から20代位までで生えることが一般的とされていますが、必ずしもこの時期に生えてくるものではなく、一生親知らずが生えてこない人もいますし、元々存在しない人もいます。4本ありますので様々なパターンがあります。

顎の大きさに対して、最後に生える親知らずのスペースが足りずに、手前の「7番」(第二大臼歯)の歯を押しながら出てくることがあります。すると「7番」の歯は「6番」(第一大臼歯)の歯を、「6番」は「5番」(第二小臼歯)を、「5番」は「4番」(第一小臼歯)を、と順次前の歯を押すことになり、前歯の歯並びに影響するのです。右側と左側のタイミングが同じとも限らないので、中心がずれることも多くあります。

矯正治療をしていない人も矯正治療をした人も、親知らずが原因で前歯がガタついてしまう可能性があります。顎全体が写るパノラマ(パントモ)レントゲン写真を撮ることで、現在どのような状態で生えてきているのか、または生えそうなのか、目視では見ることのできない骨の中を確認することができます。

まっすぐ生える、斜めに生える、手前に噛み合わせの面を向けて生えるか潜っている、存在しない、などのパターンがあります。個人個人また上下左右の個々によって異なるので、対処の方法も異なります。一般的に矯正治療をする時、初めの検査でレントゲン写真を撮るなどして治療計画を立てます。その後、歯科医院によっては定期的にレントゲン撮影し、経過観察の参考資料としますので、親知らずの状況の把握は早期にできるかと思います。

矯正治療に悪影響を及ぼしそうな親知らずの抜歯

レントゲン写真などで、親知らずが矯正治療に悪影響を及ぼすと見込まれた場合は、特別な理由がない限り、抜歯することが適切であると言えます。矯正治療で歯並びが良くなっても、後から生えようとしている親知らずが手前を押してしまっては、ガタつきができてしまうからです。そうなってしまったら再矯正ということになり、また時間や費用がかかります。

親知らずは、生え方によっては他のトラブルも起こしやすいと言えます。一番奥なので非常に磨きにくく、虫歯や歯周病、口臭などの原因となることが多い上に、親知らずの周りが細菌感染によって腫れて痛む「智歯周囲炎」という病気になることも少なくありません。

<抜歯の手順>
一般歯科医院で抜く場合と、総合病院や大学病院の口腔外科を紹介される場合があります。親知らずの状態や全身状態、また抜く本数によっても異なります。外科手術ですので、体調を整えて臨み、当日術後は飲酒や入浴、激しい運動は痛みや出血を促進するので避けます。

親知らずを抜歯する前に、まず麻酔をします。表面麻酔を塗ってから、注射の針で麻酔をします。歯科の麻酔は歯肉に圧を加えて少しずつ入れていきます。

歯と骨の間に歯根膜というクッションのようなものがあり、このクッション部分に専用の器具をいれ、歯と骨を引き離すことで歯は抜けます。親知らずが骨の中に埋まっている場合は、歯肉を切開してから骨を削ったり、歯を小さく分割してから抜きます。

親知らずを抜いた後は穴が開いていますが、穴の中の血液が段々柔らかい餅状になり、肉になり、いずれ治癒します。多くの場合、感染予防のために、抜歯した穴の中に抗生剤を入れたり、出血を止まりやすくする溶けるスポンジを入れます。切開したときは傷口を縫います。

出血が止まるように、ガーゼをかんで圧迫止血をします。麻酔は数時間でさめ多少の痛みが出るので、鎮痛剤を飲みます。傷口を縫った場合は1週間後、糸を取ります。その前に消毒や経過を診るため受診が必要なこともあります。

まとめ
まとめ

矯正治療に親知らずの存在は決して無視できません。矯正治療の歯科医師の管理下にある場合は、歯並びやかみ合わせに影響が及ばないよう早期に計画が立てられます。

しかし、親知らずが残った状態で矯正治療がすべて終わっているならば、あとの管理は自分自身で行わなければなりません。悪影響がないことを確認するまでは、定期的に歯科を受診し決して親知らずを放置しないことが、前歯の歯並びに影響せずに済む方法です。

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