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矯正歯科
2017.05.25

顎を広げる床矯正は顔が大きくなるって本当?

はじめに

「顎を広げる床矯正は、顔が大きくなる」という話を、聞いたことはありますか?しかし実際は、逆に「顔が小さくなる可能性の方がずっと高い」のです。

顎を広げて大きくするというイメージだけが先行し、誤解が生じるようなので、ここでは床矯正について、簡単にわかりやすく説明したいと思います。

床矯正とは、どんなもの?

床矯正は、歯を支える歯槽骨を広げ、歯が生える位置を変化させることが目的の、歯列矯正の方法のひとつです。「床拡大装置」などと呼ばれるものを上顎と下顎の内側にピッタリとはめて、じんわりと歯の根元を押し、それぞれの歯がきれいなアーチを描いて並ぶように促します。

<目的と構造>
構造は主に、「レジン(プラスチック)床」と「スクリュー(ネジ)」と「金属ワイヤー」でできています。プラスチック床は、真ん中で2つに分かれてスクリューで繋がっており、スクリューを回すことで最大8ミリほど間を広げることができます。

また金属ワイヤーで、歯をつかむように保持する部分を2つ以上付けます。更に用途に応じた太さの異なるワイヤーを付けることで、きれいなアーチからズレている歯を押し整頓を促すような力を加えたりもします。

それぞれの顎の形に合わせたレジン床と、歯並びに応じたスクリューやワイヤーを付けるため、完全にオーダーメイドです。入れ歯のように自分で着脱ができますので、歯みがきや食事に影響はありません。

<適応症>
顎が小さい、または顎に対して歯が大きく、歯が並び切れないことが見込まれる場合に有効です。また、反対咬合(受け口)・過蓋咬合(出っ歯)・交叉咬合(シザーズバイト)など、かみ合わせが正しい位置でない場合も、上下どちらか又は両方の顎を広げながらワイヤーで歯並びを整えていくことによって、改善が見込まれます。歯の並ぶ場所を作って歯の方向を整えていくのです。

例えていうならば、20~24個のイスをきれいな半円アーチ状に並べて、そこに座る一人一人の姿勢も正すのです。いずれも、顎の成長課程である小児期は、乳歯と永久歯の混合歯列期でもあるため、高い効果が期待できます。

成長期は、女の子が14歳、男の子が19歳くらいまでで、混合歯列期は男女ともに6~13歳くらいの期間です。顎を広げつつ、乳歯を良いタイミングで抜いていくことでも、きれいな永久歯列を作りやすくなります。

子どもの時に床矯正することによって、永久歯を抜く矯正や、歯の表面に突起とワイヤーをつけて歯並びを整えるブラケット矯正をせずに、きれいな歯並びになる可能性が高まります。

床矯正によって顔は大きくならない
床矯正によって顔は大きくならない

顎の骨は、上顎と下顎があり、それぞれに乳歯は20本、永久歯は最大32本アーチ状に並びながら生えます。床矯正によって広げるには、よい意味での「限界」があります。

床矯正の装置が歯冠(歯の頭部)を押すことで、歯根の周りの骨が少しずつ「添加」「吸収」を繰り返して顎が広がり、きれいに歯が並ぶように変化させますから、歯のないところの骨が床矯正によって大きくはなりません。

また歯を押しすぎると歯列(歯並び)がフレア状に広がって、隙間ができてしまうので、広げたくない部分の歯冠を装置につけた金属ワイヤーで押さえながらおこないます。あくまでも歯列のアーチを、きれいなU字型にすることが目的ですから、顔の骨格が大きくなることはありません。

<顎の周りの筋肉>
顎の周りは、いくつもの筋肉で覆われています。咀嚼筋(咬筋・側頭筋・内側翼突筋・外側翼突筋)・口輪筋・表情筋・舌筋など、適度に使って食べ物を噛むことで、筋肉が引き締まり、顔が小さくなります。

俗に言う「二重あご」「への字くち」は、骨格的な遺伝の要素もありますが、かみ合わせが悪くてよく噛めず、筋肉がたるんでしまっていることが原因のこともあります。床矯正して適度に奥歯で噛めるようにすると、徐々に筋肉が活性化して引き締まり、すっきりときれいな口元になることが多いです。

<顎と悪癖>
顎の骨は、悪い癖があると変形することがあります。まずは「舌癖」です。舌で前歯を押す癖があると、歯が前に出てしまいます。また、「口呼吸」などでポカンと口を開けていることが多いと、上下の歯と歯の間から舌が出てしまい、かみ合わせが悪くなる原因となります。

次に「下唇をかむ癖」です。下唇をかむことが多いと、上の前歯が前に出て、下の前歯が中に倒れてしまいます。そして指しゃぶりです。上の前歯が出るとともに、上顎を押し上げて深くしてしまい、歯並びのアーチがU字ではなくV字のようになってしまいます。

そして「早食い」です。食べ物を十分噛まずに飲み込んでしまう、または片側だけで噛むといった癖があると、顎の発達のバランスが悪くなります。床矯正をするときは、これらの悪癖が無いかを確認し、口唇や舌のトレーニングもおこないながら進めましょう。

歯牙接触癖によって、顔は大きくなる
歯牙接触癖によって、顔は大きくなる

悪癖について述べましたが、「歯牙接触癖」というものもあり、これに関しては、顔が大きくなる可能性があります。これは、寝ている間にすることの多い、くいしばりや歯ぎしりだけでなく、日常的に上下の歯が接触しているという癖です。

上下の歯が接してよい時間は1日20分以内とされ、それ以上接していると、咬筋や側頭筋を鍛え過ぎてしまい、その結果、筋肉が過剰に発達して顔が大きくなることもあります。それだけでなく、肩こりや偏頭痛、歯が割れる、すり減るなどの弊害もあるので注意が必要です。

歯科医院では、主に夜間に装着するマウスピースを、健康保険の適応内で作ることもできますのでお心当たりのある方は、相談してみるとよいでしょう。理論的には、床矯正によって顔が大きくなることはなく、むしろ上下の顎の周りの筋肉が適度に活性化することで、顔は引き締まり小さくなるといえます。

床矯正は、成長期と歯の交換期が重なる小学生時代に行うことがほとんどですので、身体の成長にともない顔も大きくなることからも、誤解が生じるのではないか、と思われます。 床矯正には多くのメリットがありますが、デメリットもあります。十分に歯科医院で相談し、納得した上で始めることをお勧めします。

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