矯正歯科 コラム
矯正歯科
2017.07.24

炭酸飲料で歯が溶ける噂は嘘?ホント?気になる酸蝕歯とは

はじめに

医療に携わっている人間を除き、昔から人々のあいだではさまざまな歯にまつわる噂やそれぞれの豆知識などが常に広まり続けていました。

時代が進んだ現在もそれは変わることはなく、「嘘か本当かわからないけど歯についてこういった噂を耳にしている」という人は意外に多いようです。

そのなかでも、多くの歯科医師が患者から尋ねられた質問のなかに「炭酸飲料を飲むと溶けるという噂は本当なのか」というものがあります。

またその噂を裏付ける症状のひとつに、実際に歯が徐々に失われてしまう「酸蝕歯」というものがあります。

よって今回は炭酸飲料にまつわる噂の真実と、それに関連する「酸蝕歯」についてご紹介したいと思います。

酸蝕歯と矯正
酸蝕歯と矯正

虫歯以外の原因により歯のエナメル質が溶けて失われてしまうことを「酸蝕歯」と呼びます。

「酸蝕歯」になってしまった歯は虫歯と同じく元に戻らないため、もし治す場合は穴があいてしまっているところを詰めたりします。

「酸蝕歯」は炭酸飲料をはじめとした「酸性の強いもの」を頻繁に摂取すると、歯ぎしりをしている人や矯正のために装置を歯につけている人がなりやすい傾向にあります。

そのため「酸蝕歯」は自覚症状もなく知らないうちに進行してしまうことがほとんどです。

それに加えて普段の食生活において炭酸飲料を摂取していた場合、炭酸飲料にまつわる噂を知っていたことにより「炭酸飲料で歯が溶けてしまった」という噂が広まるようです。

そうすると「炭酸飲料は歯を溶かしてしまう」という噂は決して嘘とは限らないと言えるのですが、厳密に答えると「嘘であり本当である」とも答えられるのです。

その理由は、「酸蝕歯」とは歯のエナメル質のミネラルが失われた状態で歯が磨耗してしまった状態を指すため、厳密には歯が溶けたわけではありません。

歯のエナメル質が失われて歯がやわらかくなることを「脱灰」と言いますが、これは虫歯だけに限らず食事をした場合でも多少起きることです。

しかしその「脱灰」が原因で歯が削れやすい状態になってしまっていることは事実であり、「脱灰」した状態の歯で食事をしたり歯ぎしりをしたりすれば歯が失われることもあります。

そうすると知らない間に歯がなくなっていたことから「歯が溶ける」という現象にも結びつくと言えるのです。

以上のことから「炭酸飲料を飲むと歯が溶ける」という噂は厳密には嘘と言うことができ、それと同時に「炭酸飲料を飲むと酸蝕歯のリスクがあがる」と答えることができます。

また矯正装置が「酸蝕歯」のリスクをあげてしまうものの、「歯ぎしり」の原因のひとつに歯並びの悪さがあります。

そのため「歯ぎしり」を改善するために矯正治療が必要になってくる場合、矯正中に「酸蝕歯」にならないように注意をし、食事や間食に気をつけなければいけません。

そこで対策をしやすくするために、「酸蝕歯」になりやすい食べ物や飲み物などについて詳しくご紹介していきます。

酸蝕歯になりやすい食べ物や飲み物
酸蝕歯になりやすい食べ物や飲み物

「炭酸飲料」を問わず、「酸蝕歯」になりやすい飲み物や食べ物は他にもたくさんあります。
それらはすべて「酸性の強いもの」であるため、矯正をしていない人の場合でも「酸蝕歯」になる可能性は十分あります。よってすべての人が摂取の仕方には注意が必要です。

■pH(ペーハー)が低いもの
まず、すべての食べ物や飲み物にはpH(ペーハー)という数値の評価があります。それにより、その食べ物や飲み物が「酸性」なのか「中性」なのか「アルカリ性」なのかを判断しているのです。

そして「酸性」よりの食べ物や飲み物はpHの数値が低く示されます。このことは一般的にリトマス試験紙やpHを調べることができる溶液や指示薬などを使用することで調べることが可能です。

「酸性」よりのものはpHの数値が「7以下」になり、それより高い数値の場合は中性からアルカリ性よりのものになっていきます。

また歯の表面のエナメル質が溶け出すのは「pH5.5以下」からと言われています。そのため「酸性」よりのもののなかでも、さらにpHが「5.5以下」となる「酸性」の強い飲み物や食品についてご紹介します。

飲み物の場合は「炭酸飲料」「スポーツ飲料」「ビール類」「ワイン」「焼酎」「オレンジジュース」「野菜ジュース」「栄養ドリンク」「酢」など。

食べ物の場合は「柑橘類」「りんご」「梅干」「トマト」「にんじん」「じゃがいも」などです。

■アルカリ性食品に注意
最近では健康と美容に効果のある「アンチエイジング対策」のひとつに、体の酸化を防ぐ「抗酸化作用」のある食べ物を摂取することが流行になっています。

基本的に「抗酸化作用」があるとされている食べ物は「アルカリ性食品」が多く、それはおもにビタミンや鉄分などを含んでいます。また「梅干」も「抗酸化作用」がある健康食品として有名です。

そしてここで気づいた方もいるかと思いますが、先程pHが低い食べ物として紹介したものは、そのほとんどが「アルカリ性食品」なのです。

pHが低いのになぜ「アルカリ性食品」と呼ばれるのかというと、それは食品に含まれる「ミネラル」が「アルカリ性質」であるためです。

つまり「酸性食品」と呼ばれるものは「ミネラル」が「酸性質」なのです。このことはpHの数値に影響することはなく、あくまで体に与える影響によって判断されることになります。

そのため「アルカリ性食品」であるからといって積極的に摂取すれば「酸蝕歯」になってしまう可能性も考えられ、食べ方によく注意をする必要性があるのです。

酸蝕歯を防ぐ方法

一度失われたエナメル質はもう取り戻すことはできませんが、「酸蝕歯」の状態になってしまった歯をもう一度硬い歯に戻す対策をすることは可能です。

歯は「脱灰」によって失われたミネラルを取り戻さなくてはいけないため、それを手助けしてあげることで「酸蝕歯」は防ぐことができるのです。

そのためには、まず「全く食べずに飲まない時間帯」を作ることです。唾液のなかには歯に必要なミネラルが含まれているため、唾液を口のなかに循環させるために一切の食事をしない時間帯を設けるのです。

歯磨きをする前や寝る前にもこの時間帯を作ることで「酸蝕歯」のリスクは十分下がります。

次に、フッ素やリン酸カルシウムを含んだ歯磨き粉を使用することです。歯磨きをしている間に歯磨き粉のなかに含まれるフッ素やリン酸カルシウムを歯が吸収することで「酸蝕歯」の予防につながります。

ただし歯を強く磨いてしまうとその摩擦力で歯が削れてしまうおそれがあるため、あくまで歯にミネラルを与えているようなつもりで力を入れずに優しく磨きましょう。

■気をつけるべきこと
虫歯だけでなく「酸蝕歯」にも気をつけなくてはいけなくなると、神経質な人は食べ物をあまり摂りたくなくなってしまうことも考えられます。

しかしpHが低い食べ物や飲み物は、何時間も摂取することにより歯に悪い影響を与える可能性があるというだけであり、食べてはいけないということはありません。

食べ物においてはどれも健康には欠かせないものばかりであり、これらを避ける食事ばかりをすれば栄養失調にもなりかねません。

重要なのは一定の時間内に食事を済ませることであり、そのあとは失われた歯のミネラルを吸収する時間を設けることです。これらのバランスを保つことで健康的な歯は維持できるのです。