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矯正歯科
2017.08.8

どうして口の中の傷は治りやすいの?

はじめに

歯科矯正を受けていると、調整した器具が唇や頬の内側の粘膜、歯ぐきや舌にあたって傷ができてしまうということはありませんか。傷ができてしまっても、時間がたって慣れれば、あるいはクリニックで再調整してもらえば、意外なほど短期間で傷が治ってしまうため、驚かれたことがあるかもしれません。

たしかに、手足などの皮膚の傷に比べ、口の中の傷は治るのが驚くほど早いように思えます。これはなぜでしょうか。何か特別な理由があるのでしょうか。今回は、口の中の傷が治りやすい理由について、徹底解説していきたいと思います。

「ツバつけておけば治る」は科学的?唾液のスゴイ作用とは
「ツバつけておけば治る」は科学的?唾液のスゴイ作用とは

昔の人はちょっとしたケガをしても「ツバでもつけておけば治る」といったものですが、これには意外な科学的根拠があるのをご存知でしたか。実は、唾液には傷を早く治すのに必要ないくつもの成分が含まれており、いつも唾液に触れている口の中の傷はいわば常に「ツバつけている」状態となるため、治りが早いのです。ここで、傷の治りを早める唾液のいくつかの成分をご紹介しましょう。

■傷口を消毒する成分
唾液には、リゾチーム、ラクトフェリン、免疫グロブリンの一種であるIgAなどの抗菌成分が含まれています。リゾチームなどは風邪薬に配合されていることもあるので、コマーシャルなどで耳にしたことがあるかもしれません。

実は、手足などの皮膚よりも口の中のほうが、細菌がはるかにたくさんいるのです。その数、唾液1ミリリットル当たり1~10億個にも及びます。皮膚表面の1平方センチ当たり1000個と比べると、格段に多いのがわかります。

普通に考えると、細菌が多ければ、傷口は当然それだけ感染しやすく、化膿しやすいものですが、口の中の傷は反対に化膿しにくいのです。天然の抗菌洗浄液でいつも洗われているから、ということでしょう。

■傷口を消毒する成分
唾液には、粘膜を保護するムチンという成分が含まれています。傷口を保湿し、食べ物などの刺激から保護してくれます。また、唾液に含まれるたんぱく質の一種であるヒスタチンという成分が、細胞を増殖させて傷をふさぐ作用を持っていることがわかっています。加えて、唾液には上皮成長促進因子(EGF)が含まれており、細胞の再生を促して傷の治りを促進してくれます。

この点については、ネズミを使った実験でも証明されています。背中に傷のあるネズミを数匹一緒に飼った場合には、ネズミどうしが傷口を舐め合い、2日後には傷口が75パーセントふさがっていました。それに対し、同じく背中に傷のあるネズミを1匹ずつ離して飼った場合には、自分で背中の傷を舐めることができないため、2日後には20パーセントしか治っていなかったということです。

傷口の治りを早めるこのような唾液の作用が、皮膚よりも口の中の粘膜のほうが何倍も早く治る大きな理由のひとつです。

■抗ガン作用のある成分
唾液中には、ペルオキシダーゼという酵素が含まれています。ガン予防効果があるキャベツなどの野菜に含まれる成分としても有名で、耳にしたことがあるという方もいらっしゃるかもしれません。

発ガン物質を唾液に30秒間つけるだけで、発ガン作用が著名に低下するという実験結果も報告されています。ガン予防のためには良く噛むことが大切、といわれる理由はここにあります。良く噛むことで唾液の分泌が促され、ペルオキシダーゼがたくさん出ることで、がんを予防できるというわけです。

矯正装置で傷ができたら唾液で治そう!

矯正中、特に初めのころは、矯正装置が舌や粘膜にあたって傷を作り、口内炎になってつらい思いをする人も少なくありません。こまめにクリニックで調整してもらう、クリニックでもらえるワックスを使って保護するなどの方法で、傷にならないよう予防を心がけるとよいでしょう。しばらくすると舌などが慣れてきて、無意識に器具にあたらないようになり、傷になることも減ってきます。

それに加え、先ほど考えたように、唾液で常に洗われている状態が傷の治りを早くします。しかし最近では、食習慣の変化やストレスなどの原因で、全体的に唾液の分泌量が減少しているといわれています。唾液が減ると、傷に細菌が入って口内炎になりやすくなり、傷の治りが遅くなります。

唾液の分泌を活発にし、その作用を十分に発揮させるためには、食事の時によく噛むことが大切です。柔らかいものばかり食べる習慣や、飲み物で流し込む習慣を避け、しっかり噛む習慣を身につけるよう心がけましょう。レモンや梅干しなど酸味のある食品を意識して摂るのもよいでしょう。

人間は1日に1リットル以上の唾液を分泌していますから、こまめな水分補給を十分に行うことも大切です。それに加え、耳の下やあごの下にある唾液腺を軽く押してマッサージすることも唾液の分泌を助けてくれます。

会議前など、緊張すると口がカラカラになる経験はありませんか。緊張やストレスは唾液の分泌を抑えます。上手にストレスを解消し、リラックスする時間を作ることで、唾液の分泌を促進する副交感神経を働かせることができます。

唾液が不足すると、傷の治りが遅くなるだけでなく、歯周病や虫歯になりやすくなったり、味覚障害や口臭の原因ともなりますので、唾液を増やすよう心がければ、お口の総合的な健康のためにもプラスになりますね。

まとめ
まとめ

ここまでで、矯正装置などでできた口の中の傷が治りやすい理由についてご紹介してきました。動物がケガをすると傷口を舐めて治すことからもわかるように、唾液には傷の治りを早めるさまざまな成分が含まれています。天然の抗菌剤兼治癒促進剤である唾液にいつも触れていることにより、口の中の傷は皮膚の傷よりも数倍治りが早いのです。

矯正装置などでできた傷を早く治したい場合は、装置が当たらないよう保護することに加え、唾液をしっかり出せるよう、水分補給や良く噛む習慣、ストレスの軽減などに注意を払うとよいでしょう。

傷や痛みなど、不自由なことも多い矯正期間ですが、矯正完了時にはキレイな歯並びでの最高の笑顔が待っています。引き続き、唾液のスゴイパワーを最大限に活用して、矯正期間を乗り切りましょう。

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