矯正歯科 コラム
矯正歯科
2017.11.10

矯正治療において「高額療養費制度」が適応されるケースとは

はじめに

近年の歯科医療の進歩はめざましいものがあり、インプラント治療や矯正治療などの中でもさまざまな治療法が開発されています。しかし最新技術や審美的治療に関しては保険適応外となり、どうしても高額になってしまうのです。

そんな中、高額な医療費がかかった場合に利用できる「高額療養費制度」が適応される症状として「顎変形症」という症状があります高額療養費制度についての概要や申請条件、提出方法や提出場所について。また、顎変形症がどの様な症状で、どこまで適応されるのかについてもご紹介します。


高額療養費制度とは?
高額療養費制度とは?

まずは「高額療養費制度」についてご紹介します。高額療養費制度とは、同一医療機関で1ヵ月に支払った医療費が80,100円を上回った場合に、年齢や所得額に応じて決められた自己負担限度額を超えた分が返還される制度のことです。原則として「1医療機関で支払った医療費」が対象ですが、1ヶ月間同一世帯に21,000円以上の医療費の支払いが複数ある場合、合算して計算できます。

■どのようにして返還されるの?
高額療養費返還のための手続きとして、病院や診療所などから発行された領収書、保険証、印鑑、返還金が入金されるための銀行口座等が必要になります。これらを準備し、必要書類に記入し保険者に申請します。

■上位所得者や低所得者は金額に違いがあるので注意しましょう
月収53万円以上の方、国民健康保険で保険税算定の基礎となる基礎控除後の総所得金額等が600万円を超える方は上位所得者とされます。上位所得者は、同一医療機関で1ヵ月に支払った医療費の自己負担限度額が150,000円以上となります。また低所得者は35,400円と、条件に違いがありますので間違いのないように確認しておきましょう。

歯科矯正治療において高額療養費制度は適応されるのか

基本的に歯科矯正治療は保険適応外治療であり、高額療養費制度は健康保険制度のひとつです。基本的に対象となるのは健康保険が適用される治療であり、審美を目的とした矯正治療に関しては対象外となります。

■矯正治療の中でも高額療養費制度の対象となるものがあります
ただし、歯科矯正治療の中でも「顎変形症」という症状によって歯列矯正がおこなわれたという場合は保険適用の外科矯正治療ということで、高額療養費制度の対象となります。

■「顎変形症」の歯列矯正とは?
矯正治療をおこなうにあたり、外科手術を併用しないとできない噛み合わせの状態の場合、「顎変形症」という診断名がつきます。その場合、検査・術前矯正・外科手術・術後矯正・保定の管理に至るまですべて保険適用となるのです。ただし保険が認可された矯正専門医等の医療機関の場合が対象になりますので先に確認しておきましょう。

■顎変形症の矯正治療費の目安
通常、保険外の矯正治療にかかる費用は、装置にもよりますが80~100万円が相場です。顎変形症の場合保険適応になりますので、患者が窓口での負担金は3割ですので約24万円。これに外科手術(片方の顎のみの手術と入院費を含む)約27万円が加算されますが、1ヶ月以内に80,100円以上の医療費がかかった場合に高額療養費の申請もでき、あとから19万円返還されます。手術費用は実質8万円程度ということになるのです。

「顎変形症」が適応される症状について
「顎変形症」が適応される症状について

顎変形症がどのような歯並びが対象になるのか、具体的な症例をご紹介します。歯並びでお困りの際に歯列矯正をお考えであれば、保険適応で歯列矯正ができるかどうかの参考にご覧ください。

■「顎変形症」の定義
決まった症状はなく、患者によって症状はさまざまです。基本的に上あご(上顎骨)もしくは下あご(下顎骨)あるいはその両方の大きさや形、位置などに異常がある場合。そして、そのために顔面に変形と噛み合わせに異常をきたしていると診断されたものをいいます。矯正治療だけでは改善が難しいため、骨格から外科手術をおこなったのちに矯正治療する方法です。

■顎変形症の症状と手術法
顎変形の症状はさまざまで、手術の場所や方法も異なります。以下に、状態に合わせておこなわれる手術例をご紹介します。

・上顎後退症+下顎前突症の場合…上あごを前方に移動し、下あごを後方に移動させます。
・上顎前突症+下顎後退症の場合…上あごの骨を切って後方へ移動させ、引っ込み過ぎている下あごを形成します。
・顔面非対称+咬合平面異常…上あごが変形しているため、左右非対称になってしまっている場合、顎の骨の歪み部分を切って修正し、修正した部分としっかり噛み合わせられるように下あごも修正します。
・長顔症+上顎歯列弓狭窄の場合…上あごが下あごに比べて狭く内側に入り込んでしまいます。また、目から上あごまでの中顔面という部分が通常より長い場合、上あごの手術で短くして下あごを合わせます。
・短顔症の場合…上あごが他の部分に比べて垂直方向で不均衡に短く変形しています。骨切り術という手術によって上あごの高さを長くします。
・外鼻変更の場合…口唇裂・口顎裂などの影響によって歪みがある場合、鼻の変形を整形することがあります。その際シリコンなどは使用せず、肋軟骨移植などの自家移植で施します。

■最新手術「コルチコトミー」は保険適応外なので注意
一度切った骨は回復すると切る前よりも丈夫になるという骨の性質を利用した「コルチコトミー」という外科手術を併用した矯正治療法があります。歯の土台となる歯槽骨にあえてヒビをいれる外科手術をおこなった後に矯正治療することで、通常よりも早く歯を並べることができるという素晴らしい効果もあります。この方法では矯正前に外科手術をおこないますが、保険適応外の手術となり高額療養費の申請ができませんので注意しましょう。

まとめ

顎の骨の変形に伴って歯並びが悪くなっているケースはたくさんあります。「外科手術」と聞くと恐怖を感じる人もいるかもしれません。しかし、噛み合わせや歯並びが美しくなるだけでなく顔貌も著しく変化し、噛み合わせが良くなることによって健康面も良くなったり、見た目から明るくなれたりと良い効果がたくさんあります。自身の歯並びが保険適応で矯正できるのかどうか、気になる方は歯科矯正専門医へご相談ください。