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矯正歯科
2017.11.19

歯根嚢胞がある場合の矯正歯科治療について

はじめに

口腔内の異常のひとつに、歯根嚢胞という症状があります。歯の根の先に膿の嚢ができている状態を言いますが、歯根嚢胞が認められた場合、歯科矯正治療はどのように進めていくのかについてご説明します。


歯根嚢胞とは
歯根嚢胞とは

歯根嚢胞とは、歯の根の先端に膿の嚢ができる症状のことを言います。歯科用レントゲンで口腔内の写真を撮ったとき、歯の根の部分が黒く丸く写ることで確認することができます。まずはこの歯根嚢胞の症状についてご説明します。

■痛みなどの症状がない場合がある
主に神経の治療を行った歯や、ぶつけた歯などに症状が出ることがあります。痛みをほとんど感じることなく膿の嚢が大きくなり、レントゲンで初めてわかるケースも少なくありません。

■歯ぐきにニキビのような白っぽいできものができる
歯根嚢胞ができると、嚢の中に膿が溜まります。やがて歯ぐきから膿が出ると、それがニキビのような白っぽいできものとなって歯ぐきに表れます。特に痛みがないケースではそのまま放置しがちですが、嚢が破れて膿が出ると、臭いにおいがするため口臭と勘違いしてしまうことがあります。

■根の周囲や骨が溶かされ、触ると膿が出続ける
膿の嚢が大きくなって、根の周囲や骨が溶けてしまうことがあります。このため痛みなく歯ぐきから膿が出続ける場合があります。

■噛んだときに痛みを感じたり、浮いた感じがする
歯根嚢胞ができるとほとんどの場合痛みを感じませんが、膿の中は細菌だらけです。歯の根の周りには歯根膜という薄い膜がありますが、膿の中にある細菌が歯根膜に感染すると、噛んだときなどに痛みを感じる場合があります。また嚢の中に膿が多く溜まるとその圧力で歯が浮いたように感じることがあります。

■歯ぐきの腫れとともに、激痛が走る
歯根嚢胞に膿がたまることで、歯ぐきの腫れや激痛を感じることがあります。膿が出てしまえば痛みも治まりますが、膿が出ずに中に溜まると圧力が高くなり、歯ぐきが腫れてしまいます。

歯根嚢胞の治療について

歯根嚢胞と診断された場合、嚢胞を取り除くための治療を行う必要があります。

■感染根管処置
歯根嚢胞は、歯の根の中に起こる細菌感染です。そのため細菌によって汚染された根の中をきれいに消毒し、薬でフタをする「感染根管処置」を行うことが最も一般的です。この治療は一般的であると同時に、根の中に少しでも細菌が残っていると、再発を繰り返し、いつまでも歯根嚢胞が治りません。再発を防ぎ、歯根嚢胞を完治させるためにはラバーダムなどを使った精密な治療が望ましいと言えます。

■歯根端切除術
感染根管治療を行った結果が思わしくない場合や、根の形が複雑でファイル(歯の根の治療に使うヤスリのようなもの)が先端まで届かない、或いは歯の根が割れてしまう可能性がある場合、歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)という処置を行い、感染部分を切除します。まず麻酔をし、歯ぐきを切開して骨を露出させ、根の先の骨を切り取って嚢胞を取り出します。裏側から薬を詰めて細菌感染を防ぎ、処置を終えます。

■分割抜歯
奥歯は根が2本~4本あり、歯を分割して嚢胞とともに根を1本抜歯する分割抜歯を行う場合があります。歯を全部抜かず、他の根を温存することでクラウンを被せたり、ブリッジの土台として使うことが可能です。

なお、歯根嚢胞は色々な種類があり、そのほとんどは良性ですが、稀にエナメル上皮腫も似たような所見がみられる場合があります。そのため切除した嚢胞を検査することがあります。

歯根嚢胞が認められる場合の歯科矯正治療について
歯根嚢胞が認められる場合の歯科矯正治療について

矯正治療を行うときにはレントゲン撮影を行い、歯並びの状態などお口の状態を画像にて把握します。その際歯根嚢胞が認められたら、歯科矯正治療を行ってもよいかどうか迷うかもしれません。

基本的に、歯根嚢胞があっても矯正治療は受けることが可能です。しかし嚢胞が大きくなったり痛みが出たり、膿が出続けるような状態になってしまった場合、矯正治療に少なからず影響が出ることが考えられます。矯正治療を始める前に、歯根嚢胞の治療を行うほうが望ましいと考えられます。

手順として、まず感染根管処置を行い、根の中の消毒を行ってきれいな状態にします。これで症状が治まれば矯正治療を行うことができますが、感染根管処置を行っても症状が改善しない場合は歯根端切除術を行い、病巣を取り除いてきれいにします。

また矯正治療中にいちど矯正を中断し、歯根嚢胞の治療を優先する場合もあります。治療法は上で述べた方法で行われることが一般的です。歯根嚢胞の症状が治まったら改めて矯正治療を再開するほうがベターでしょう。歯根嚢胞は少しでも細菌が残っていると再発しやすいため、嚢胞ができていないかどうか、定期的にチェックする必要があります。歯根嚢胞と診断した歯科と歯列矯正を行っている歯科が別々の場合、連携を取り合ってそれぞれの治療を進める必要があります。

矯正治療前や途中で歯根嚢胞と診断されたら

歯根嚢胞についてご説明しました。歯根嚢胞は根の治療を行った歯に起きやすく、そのほとんどは根管治療途中に細菌が入り込んだものです。しかし、根管治療が丁寧におこなわれれば、このようなトラブルは防ぐことができます。根の治療を行うときはラバーダムなどを使用して治療を行う歯科医院を選ぶことが望ましいでしょう。

歯科矯正治療前や矯正治療途中で嚢胞が見つかった場合は、まず主治医とよく相談して下さい。矯正治療を続けるのか、いったん矯正治療を中断して歯根嚢胞の治療を優先して行うのか、患者様の状態によって変わってきます。できることなら歯根嚢胞の治療を先に行う方がその後の矯正治療がスムーズに進むように思えますが、まずは担当医とよく相談してください。

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