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矯正歯科
2017.11.28

妊娠中に歯がとけるって本当 カルシウムが必要なワケとは

はじめに

妊娠中の方であれば、「妊娠すると赤ちゃんにカルシウムが取られる」とか「妊娠中は歯がとけやすい」などといった話を一度は耳にすることでしょう。確かに、女性は妊娠するとお口の中にトラブルが発生しやすくなります。しかしそれは本当に歯の中のカルシウムと関係があるのでしょうか?

今回はこの疑問に焦点をあて、妊娠と歯のカルシウムの関係や妊娠中に気を付けたいお口のトラブル、さらに妊娠中のカルシウム摂取について、詳しくご紹介したいと思います。

歯の中のカルシウムが体にとけだすことはない
歯の中のカルシウムが体にとけだすことはない

結論から言えば妊娠しているいないにかかわらず、歯の中のカルシウムが体の中へとけだすということはありません。カルシウムは体に必要なミネラルの1つです。体内にあるカルシウムの99%は歯と骨の中に存在し、そして残り1%のカルシウムが血液や細胞の中で様々な働きを調節するのに使われています。

そのカルシウムには神経や筋肉の動きを調整したり、血液を固まりにくくする働きがあります。またホルモンの分泌や血圧の調整にもカルシウムは重要な役割を担っています。このようにカルシウムは生命維持に欠かせないため、血液中のカルシウム濃度を常に一定に保たなければなりません。そのために1日に十分なカルシウムを食べ物から摂取する必要があります。

もし血液内のカルシウムが不足する場合は、体の他の部分からカルシウムを補います。そのときに対象となりうるのがカルシウムを多く含む骨や歯になるというわけです。ただ実際に使われるのは骨の中のカルシウムで、歯の中のカルシウムが使われることはありません。つまりカルシウムが不足すると歯がとけるということもないし、反対にカルシウムを多く摂ったからといって歯が丈夫になることもないのです。

しかし例外もあります。それはこれから歯が作られる小さな子供達の場合です。乳歯や永久歯が形成される時期は十分にカルシウムを摂取しないと、歯が弱くなる可能性があるため注意しましょう。

なぜ「妊娠すると歯がとける」と言われているのか?

以上のように、妊娠によって歯のカルシウムが失われることはありません。しかし妊娠すると虫歯や歯周病になりやすいのは事実です。つまり、実際に妊娠を重ねるたびに歯を失うリスクは高くなるため、そのことが「妊娠すると歯がとける」「赤ちゃんにカルシウムを取られる」と言われる由縁と考えられます。それではなぜ妊娠すると虫歯や歯周病になりやすいのか、以下に詳しく解説していきましょう。

■つわりや偏食など妊娠期に起こる体の変化
女性は妊娠すると体に様々な変化があらわれます。その1つがつわりです。つわりによって嘔吐が続くと口の中が胃酸にさらされ、歯の表面にあるエナメル質が弱くなります。また、つわりがひどくなると歯ブラシを口に入れることも困難で、口の中が不潔になり虫歯になるリスクが高くなります。

さらに妊娠期の偏食も口の中にトラブルが起こりやすい原因です。特に妊娠後期になると大きなお腹に圧迫されて、一度に摂れる食事の量が少なくなります。その結果1日の食事回数が増えてしまうのも、虫歯になりやすい要因の1つと言えるでしょう。

■妊娠時におけるホルモンの変化
妊娠期の体の変化に大きく関係しているのが、ホルモンバランスの変化です。妊娠すると女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンの量が通常時よりも多くなります。

このエストロゲンやプロゲステロンの増量も、お口の中の環境を変えてしまう要因の1つです。例えばエストロゲンは一部の歯周病菌を活発にして、妊娠性歯肉炎という妊娠期特有の歯ぐきの炎症を引き起こすことがわかっています。またプロゲステロンは炎症に関わる物質を刺激し、通常時よりも歯ぐきの炎症を増悪させてしまう性質を持っています。

このように妊娠期特有のホルモンの変化が、歯肉炎などの歯ぐきの炎症を通常時よりさらに悪化させる原因となり、歯を失うリスクを高めてしまう恐れがあるのです。

妊娠中におけるカルシウム摂取の重要性
妊娠中におけるカルシウム摂取の重要性

妊娠中に歯が弱りやすいという理由でカルシウムをあえて摂取する必要はありません。しかしカルシウムはお腹の赤ちゃんの骨や歯を作ったり、心臓や筋肉の正常な発育のためには重要な栄養素です。またカルシウムは血圧を調整する働きがあるため、妊娠性高血圧の予防にも欠かせません。そのため妊娠中は食事などで十分にカルシウムを摂取する必要があります。

成人女性に推奨されるカルシウム量は1日あたり650mgとされています。「赤ちゃんのためにも多めに摂取したほうが良いのでは」と思われがちですが、妊娠中はエストロゲンの影響でカルシウムの吸収率が通常の2倍になります。したがって、カルシウムに関しては通常時の摂取量でも特に問題はありません。

ただ気を付けたいのは、妊娠前に普段どの程度カルシウムを摂っていたかです。カルシウムは1日の推奨量が650mgであるのに対し、実際の女性の平均摂取量は489mg(平成25年調べ)と不足しがちな栄養素であることがわかっています。もし妊娠前の食生活がカルシウム不足ぎみだったのであれば、妊娠を機に食事の中身を見直しましょう。

妊娠期にカルシウムの量が少なくなると、それを補うために骨からカルシウムが吸収されていきます。これによって引き起こされるのが、更年期に生じる骨粗しょう症です。骨粗しょう症は特に女性がなりやすく、軽く転倒しただけ骨折するなどして、時に重篤な障害を招く恐れがあると言われています。

妊娠中はカルシウムに限らず、赤ちゃんの健やかな発育と母体の健康維持には欠かせない栄養素がたくさんあります。あまり神経質になる必要はありませんが、できるだけバランスの良い食事を心がけましょう。

まとめ

妊娠中に歯のカルシウムがとけだし、歯を弱くするようなことはありません。しかし妊娠中はホルモンバランスの変化によって、体の状態も変わっていきます。その影響を受けて、妊娠中は虫歯や歯周病などのトラブルが多くなります。

矯正治療を受けられる女性の場合、治療中に妊娠する方も少なくありあません。当院では妊娠中のお口のトラブルに備え、妊娠した患者様に対してブラッシング指導やクリーニングを丁寧に行っています。もし妊娠中の矯正治療に関してご質問などありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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