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矯正歯科
2017.12.22

子供の歯列矯正はいつから始めるべき?

はじめに

人間の歯は、子供のうちは乳歯ですが、成長するに従って永久歯に生え変わり、最終的には全て永久歯になります。
乳歯の歯並びを乳歯列、永久歯の歯並びを永久歯列といいます。
近年、乳歯列の時期から、歯並びや噛み合わせに関心を持って、子供の歯並びを心配する保護者が増えている傾向にあります。
子供の歯並びに不安を感じたら、どの時期に歯医者に受診したらいいのでしょうか?


矯正歯科治療の問題点

一般的に、矯正歯科治療は、永久歯列となる12歳頃から開始となることが多いです。これは、永久歯列の完成により歯並びや噛み合わせの不正状態がほぼ出尽くした状態になることで、将来を予測しやすくなるからです。
しかし、この時期では歯並びの成長は終わっていても、顎の骨格の成長はまだ続いています。部位によっては20歳頃まで続くとされます。そのため、矯正歯科治療が終わったあとに、歯並びに後戻りが生じるリスクが高くなってしまいます。

咬合誘導
咬合誘導

咬合誘導とは、乳歯列の時期から、子供の成長発育による骨格の拡大を利用しながら、歯並びを乱すいろいろな異常や要因に対して、早期に処置することで、歯並びの異常を予防し、健全な永久歯列に誘導することです。
咬合誘導も矯正歯科治療も、最終的な目標は同じです。すなわち正常な永久歯列を作ることにあります。
しかし、咬合誘導は、小児歯科での治療の一環であり、矯正歯科治療と最も異なるところは、歯並びの治療も行なうけれども、歯並びの異常の『予防』を行なう点にあります。
予防することによって、後戻りをしにくく歯並びを整えることができるようになります。
可能であれば、乳歯列の時期に歯並びの治療を行なうことが望ましいとされるのが、このためです。

乳歯列期の歯並びの異常の推移

乳歯列期の1歳6ヶ月、2歳、3歳、5歳で歯並びの状態を調べた結果があります。これによりますと、1歳6ヶ月児と2歳児では、歯並びの異常が53%ほどにみとめられ、正常を上回る結果になり、3歳児と5歳児では正常な歯並びの方が異常を上回るようになります。
1歳6ヶ月と2歳は、乳歯が生えている途上の段階にあたる年齢です。この時期は、乳歯が生えている途上なので歯並びが不安定です。指しゃぶり等のお口に関わるくせもあります。
乳歯列期の歯並びの異常の主な原因は、お口のくせです。くせが年齢とともに減少するに従って、歯並びが正常化していくことを示しています。
しかしながら、正常歯列が上回ったといえ、3歳では45%、5歳では38%に歯並びの異常が認められています。歯並びの異常は、永久歯が生える前、乳歯列期から始まっていることがわかります。

咬合誘導を開始する時期
咬合誘導を開始する時期

低年齢の子供の咬合誘導は、実際のところ、何歳から可能なのでしょうか?低年齢時の咬合誘導で主に行われる3つを紹介します。

■くせの治療
日本人では、お口に関わるくせとしては、指しゃぶりが最も多いです。
指しゃぶりをするくせがあると、上顎前突とよばれる上顎が下顎よりも前に突出した状態や、開咬とよばれる上下の前歯が噛み合わせられない状態を引き起こす可能性が高くなります。
新生児は、唇や頬の口に近い部分に触れると反射的に口を開けて、吸い込もうとする動きをします。指を口に入れるとより強く現れます。
これは吸引反射、もしく吸啜反射とよばれる正常な反応です。生後1年くらいで消失します。したがって、1歳頃をこえて残っている場合は、指しゃぶりの癖の治療を開始した方が良いと考えられます。
指しゃぶりを例に挙げて説明しましたが、子供のくせには、他にも歯ぎしり、爪を噛むくせ、ものを噛むくせなどがあります。
こうしたくせと歯並びには密接な関係があります。早期に対応することができれば、それだけ歯並びに対する影響を低減することができます。
くせの治療は、なるべく早期に開始したほうがいいでしょう。

■反対咬合の治療
反対咬合とは、いわゆる受け口のことです。
乳歯の反対咬合は、歯だけに原因がある歯性反対咬合、骨格に原因がある骨格性反対咬合、噛み合わせによっておこる機能性反対咬合にわけられます。
歯性反対咬合は、単に歯の向きが悪くて歯並びが反対咬合になっている状態です。これは自然に治癒していくこともあります。
骨格性反対咬合は、上顎もしくは下顎の骨に原因がある反対咬合です。
下顎骨の成長しすぎによる反対咬合の場合は、下顎骨の前方発育を抑えたり、上顎骨の成長が悪くて反対咬合になっている場合は、上顎骨を引っ張り前方へ発育させる治療が推奨されています。
こうした治療では、前者にはチンキャップ、後者には上顎前方牽引装置とよばれるヘッドギアのような装置をつけて治療します。この装置を使った治療は、乳歯列期から思春期前の顎骨の成長発育時期に行われます。
機能性反対咬合は、前歯の噛み合わせが悪く、奥歯でしっかり噛むためには下顎を前に突き出さないと噛み合わせられないことにより生じた反対咬合です。
機能性反対咬合は、乳歯列が完成すれば治療可能です。歯の当たりを削って調整する治療であれば、子供が協力的であれば、3歳頃から可能です。マウスピースのような床装置による治療は、歯型をとらなければならなりません。子供の協力が得られるなら、3~4歳頃からできるようになります。

■交叉咬合の治療
交叉咬合とは、咬み合わせた時に、横に並んでいる上顎の乳歯が下顎の乳歯よりも内側になってしまう噛み合わせのことです。
反対咬合と似ていますが、反対咬合は、上顎前歯の位置が下顎の前歯より内側に入ってしまう噛み合わせのことなので、異なります。
交叉咬合の治療は、噛み合わせの調整や、マウスピースのような床装置を使った治療になります。
子供の協力が得られれば、おおむね3~4歳頃から可能になります。

まとめ

子供の歯列矯正は、乳歯列期からの治療である咬合誘導がおすすめです。成長に沿って歯並びを悪くする要因を取り除きつつ治療する、つまり歯並びの悪化を予防しながら治療をするので、永久歯列の矯正歯科治療とは異なり、後戻りの心配が少ないからです。
咬合誘導は、歯並びの治療だけでなく、くせの治療も行ないます。どちらも、子供の協力が得られれば、おおむね3歳から4歳頃には、治療開始できます。
子供の歯並びが気になる場合は、まず全ての乳歯がきちんと生えたかどうかをチェックしましょう。全ての乳歯が生えていたら、咬合誘導で治療が出来る可能性があります。
子供の歯並びが心配な場合は、乳歯列が完成するのを待ち、歯科医院で一度相談することをお勧めします。

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