矯正歯科 コラム
矯正歯科
2018.02.7

その抜歯は本当に必要?歯列矯正で抜歯が必要になるのはどんな場合?

はじめに

歯列矯正を受ける時、何らかの理由で「抜歯」をしなければならないケースも出てきます。歯列矯正において抜歯をする理由はさまざまですが、健康な歯を抜くことにはどうしても抵抗を感じてしまうのではないでしょうか。「本当に必要な抜歯なの?」と疑ってしまうのも仕方がありません。そこで、歯医者で歯列矯正を受ける際に抜歯を必要とするのがどのような場合なのかということについて解説します。


歯の移動スペースを確保する
歯の移動スペースを確保する

歯列矯正において抜歯を行う最大の理由は「歯の移動スペースを確保する」ということです。わかりやすく言えば、10人分の椅子が並んでいてそこに11人の生徒がいるとします。号令をかけて全員が座るためには、どうしても椅子が1つ足りません。対策として椅子を増やすのではなく、座る生徒を減らすというのが、歯列矯正における抜歯になります。
歯並びが悪い状態を矯正によって正したいと思っても、動かすべき歯の動くべきスペースが不十分だと、きれいに矯正治療できません。10人分の椅子に11人は座れないので、あぶれている1人に該当する歯を抜いて帳尻を合わせるのです。特に、前後に歯が重なってしまい、移動するのに十分なスペースがない場合だと抜歯しなければ矯正ができないケースがほとんどです。
歯を動かすだけであれば、無理に歯を抜いてスペースを確保することも無いのでは?と思われるかもしれませんが、それは大きな間違いです。確かに健康な歯を抜いてしまうことには少なからず抵抗を感じるとは思うのですが、1本の歯を犠牲にできなかったがために他の歯の健康や歯並びに悪影響を及ぼす可能性があります。場合によっては虫歯などで損なっても問題ない歯を抜歯するというケースもありますが、そうでなかったとしても適切な歯列矯正を利用するためには、抜歯は不可欠なことが多いということを理解しておきましょう。

矯正後の後戻りを防ぐため

次に考えられる原因は、矯正治療後の「後戻り」を防ぐためです。矯正治療に必要なスペースを十分に確保できていない状態で無理やり歯列矯正をしてしまうと、歯が元の状態に戻る力が働きやすくなってしまいます。もちろん、抜歯する等をして十分なスペースを確保できている状態でも、後戻りのリスクは存在します。しかし、保定装置を使うことで後戻りはある程度防ぐことができます。抜歯せずに十分なスペースが無い状態で矯正を強行した場合と比較すると、抜歯しないほうが後戻りのリスクは大きくなってしまいます。

奥歯を真っ直ぐにするため
奥歯を真っ直ぐにするため

次に考えられるのは「奥歯を真っ直ぐに保つため」に抜歯するというケースです。歯列矯正においては歯を動かすスペースが重要であるという話は既にしています。この時、奥歯を奥に動かすことで前歯のスペースを確保するという方法があるのですが、これにはリスクが伴います。
歯列全体を奥に動かすという場合には、奥歯を起点として歯列を引っ張るという形をとります。この時、奥歯が逆に引っ張られてしまい、前方に倒れ込んでしまう可能性があります。抜歯することによってその必要性がなくなるので、奥歯を良い状態で矯正を完了させることができるのです。

口元の盛り上がりを防止する

他に考えられる原因としては、「口元が盛り上がるのを防ぐため」というものがあります。大きな歯や出っ歯を、抜歯や歯を削ると言った対策をせずに歯列矯正を行った場合、口元全体が盛り上がってしまう可能性があります。この状態をいわゆる「ゴリラ顔」と言います。抜歯して歯が動けるスペースを十分に確保しておけば、大きな歯や出っ歯も無理なく一列に並べることが可能になります。

抜くのは主にどの歯?

歯列矯正において抜歯を行う場合は、往々にして抜く歯というものが決まっています。それは「第二小臼歯」です。前から5番目の歯であり、第一小臼歯が虫歯などで抜くのに適している場合を除けば、基本的にこの歯を抜くことになります。
では他の歯は抜かないのかと言えば、よほど状態が悪いなどで抜歯に適合する場合を除けば抜歯しません。
まず「前歯」ですが、これは基本的に絶対に抜きません。なぜなら前歯は食事において「食べ物を噛み切るための歯」であり、加えて見た目にも大きく関わる歯なので抜歯の対象にはなりません。同様に「犬歯」も見た目に影響する歯なので抜歯の対象外です。
次は「奥歯」です。奥歯は食べ物を咀嚼する際に重要な歯であるため、機能性を鑑みて抜歯の対象とはなりません。また、小臼歯よりも奥にある歯であるため、ここに移動スペースを確保しようとしても歯の移動距離が長くなってしまうだけです。さまざまな観点において、歯列矯正において抜歯する歯としては不適格です。同様の観点から「親知らず」も抜歯の対象外となります。
このように、結局のところ歯列矯正において抜歯の対象として適切なのは小臼歯しか無いのです。ただし、もし「過剰歯」がある場合であれば、過剰歯が抜歯の対象になることもあります。