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矯正歯科
2018.07.7

日本人に八重歯が多いのはなぜ?その原因とは

はじめに

「八重歯がちょっぴり出ている女性はかわいらしい」
この美意識は、日本人であれば女性でも男性でも少なからず持っているのではないでしょうか。
八重歯の正式名称は「上顎犬歯の低位唇側転位」といい、本来はマイナスイである「歯並びの悪さ」の1つなのですが、なぜか八重歯だけはプラスに評価されています。

八重歯は不思議な存在です。
「日本人に八重歯が多い」という印象を持っている人がいます。それは本当なのでしょうか。日本人の「八重歯率」は諸外国に比べて高いのでしょうか。
また、なぜ八重歯が生じるのでしょうか。
そして、八重歯という歯並びの悪さは放置していてもよいものなのでしょうか。

最初に答えをお知らせします。
「八重歯は早いうちに矯正歯科クリニックで治したほうがよい」
ほとんどの歯医者は、このように考えています。
その理由を詳しく解説します。


なぜ日本人は八重歯を高く評価するのか
なぜ日本人は八重歯を高く評価するのか

日本人の八重歯率を理解するには、なぜ日本人は八重歯を高く評価するのかについて知っておく必要があります。

日本人は、はかなさや不完全さに美を感じる国民性があります。
日本人が愛してやまない桜も「くっきりしないピンク」「咲いたと思ったらすぐに散る」といったはかなさ・不完全さがあります。
また茶道では、割れた茶碗を使うことがあります。割れた茶碗を、金と漆でつくった「接着剤」で修復することを「金継ぎ」というのですが、職人が金継ぎした茶碗は、元の割れていなかった状態より価値が高くなることがあります。
割れた茶碗を重宝がるのは、日本人がモノが壊れることのはかなさに、心を動かされるからでしょう。

八重歯には「幼さ」のイメージがあります。また、本来は口の中に収まっていなければならない歯が出てしまっている「失敗した感じ」もあります。
ここに日本人独特の美の要素であるはかなさと不完全さを見出すのでしょう。
ちなみ欧米では、八重歯というとらえ方はなく、単なる歯並びの悪さで片付けられています。

日本人の八重歯率は本当に高いのか

日本人の八重歯率に関するデータは見つかりませんでした。恐らくそのようなデータはないと思われます。また、海外でも「上顎犬歯の低位唇側転位」(八重歯の正式名称)の発生率を調べた研究はないでしょう。
ちなみに上顎犬歯とは「上の歯の犬歯」という意味で、低位唇側転位は「位置が低くなって唇側に(舌側にではなく)移動している」という意味です。

よって、日本人の八重歯率が高いという証拠はない、という結論になります。
しかしではなぜ、「日本人は八重歯率が高い」と感じる人がいるのでしょうか。それはいくつかの仮説で説明できます。

仮説1:ネガティブな印象がない日本では八重歯が「生き残る」から
八重歯だけがある場合、日本人はそこにネガティブなイメージを持たないので、矯正しない確率が高くなります。そのため、八重歯だけが「生き残る」ことになります。欧米人は八重歯が生えてくるとすぐに矯正してしまうので、そうなると日本人は八重歯が多いという印象になります。
八重歯の発生率に違いがなくても、八重歯の「生存率」では差がつくかもしれません。

仮説2:八重歯を隠さないから
八重歯を持っている人が、それを「かわいい」と思っていれば、積極的に見せようとするでしょう。唇をうまく使えば隠せる程度の八重歯でも、そうしない人もいるでしょう。
そうなると、周囲の人の「八重歯を発見する率」が高まります。そのため「八重歯の人は意外に多い」という印象が形成されます。

なぜ八重歯が生えるのか

八重歯が生える原因は主に2つあります。
1つ目は遺伝です。親の「歯が大きい」「顎が小さい」という遺伝を受け継ぐと八重歯になる可能性が高くなります。顎の割に歯が大きいと、歯が行き場を失い「前」に出てしまうのです。
八重歯の2つ目の原因はタイミングです。永久歯は乳歯が抜けた直後に生えると、乳歯があった場所にうまく生えることができるのですが、乳歯が通常より早く抜けてしまうと永久歯が出てくるまでに時間がかかってしまいます。そのため両隣の永久歯に場所を取られてしまうのです。遅く生えてきた永久歯はやはり行き場を失い「前」に向かって生えてしまうのです。

八重歯はなぜ、矯正して治したほうがいいのか
八重歯はなぜ、矯正して治したほうがいいのか

歯の健康を考えた場合、八重歯への思いを断ち切り、矯正治療に取りかかったほうがいいでしょう。
なぜなら八重歯には、次の2つのデメリットがあるからです。

デメリット1:加齢とともに噛み合わせの悪さによる影響が大きくなる
八重歯は歯並びが悪くなっている状態です。歯並びの悪さは、噛み合わせの悪化を招きます。
八重歯の方はこれまでずっと、きちんと噛めていなかったのです。それでもしっかり食べることができているのは、他の歯や顎に負担をかけているからです。
若いうちは他の歯や顎によって噛み合わせを調整できていましたが、年を取ると調整能力が低下していきます。つまり、しっかり噛めなくなるというわけです。
噛み合わせは全身の健康に悪影響を及ぼします。

デメリット2:歯周病を発症しやすくなる
自分の八重歯の様子を詳しく見たことがある人ならわかると思いますが、八重歯と他の歯と歯肉が入り組んだ形状をつくり、歯磨きしにくいゾーンを形成しています。
歯磨きが行き届かないと歯垢が溜まり、それが歯石をつくります。

歯石は通常の生え方をしている歯でも取りにくいので、それが歯磨きしにくいゾーンにできてしまったら自力除去はほぼ100%不可能です。
歯石は歯周病の原因になります。歯周病はやがて歯を支える顎の骨が溶かし、抜歯に至ります。
すなわち八重歯は、抜歯の遠因なのです。

八重歯の矯正方法

八重歯の治療は、矯正歯科クリニックで行います。
八重歯治療で最も知られているのはブラケット矯正です。歯に金属製の金具をつけ、それをワイヤーで引っ張る方法です。ブラケット矯正は重度の八重歯でも修正できます。
またマウスピース矯正は、マウスピースを装着して少しずつ歯を動かしていく方法です。
そのほか、ワイヤーが目立たない「リンガルブラケット矯正」や、八重歯を削ってセラミック製の被せ物をする「セラミック矯正」などがあります。
それぞれ一長一短あるので、歯医者としっかり相談したうえで、ライフスタイルに合った治療法を探してみてください。

まとめ~美と健康は選択できません

八重歯はかわいい――この認識は日本ではまだしばらく続くでしょう。
しかしせめて成人した人は、矯正を検討してみてはいかがでしょうか。かわいらしさや美を追い求めたい気持ちは理解できますが、健康を削ってまで追求するのはいかがなものでしょうか。

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