矯正歯科 コラム
矯正歯科
2018.07.19

抜ける乳歯は矯正不要なのか

はじめに

自分の子供の乳歯の歯並びが悪かった場合、歯科矯正を受けさせたほうがいいのでしょうか。乳歯はしばらくすると抜けてしまいます。だとしたら、矯正して正しい位置に移しても意味がないような気がします。
また「どうせ矯正するな、永久歯に施したほうがいい」といったような考えも浮かんできます。

結論を先に紹介しますと、乳歯であっても歯並びが悪い場合、矯正したほうがいいでしょう。
そして歯科矯正する程度の乱れなのかどうか迷ったら、まずは矯正歯科治療を行っている歯医者を受診しましょう。
乳歯の生え方は、永久歯の生え方に大きな影響を及ぼすからです。


乳歯でも歯科矯正する意義
乳歯でも歯科矯正する意義

いずれ抜けてなくなる乳歯を矯正する意義は、乳歯の後に生えてくる永久歯の歯並びによい影響を与えることです。
永久歯は乳歯の後から生えてきます。もし乳歯が間違った方向に生えていたら、永久歯もそれにならって間違った方向に生えてしまうのです。
乳歯に矯正することで、永久歯を「正しいルート」に導くことができます。

また、乳歯には乳歯なりの役割があります。乳歯の並びが乱れていると、その役割を十分に果たすことができません。
そこで次に、乳歯の役割と歯並びの悪さの関係をみてみます。

乳歯の役割とは

乳歯も永久歯も、食材を噛む役割があるのは同じです。乳歯にはそれに加えて、子供自身に「食材を噛むことを学ばせる」役割があります。乳歯の生え方が乱れていると、正しい咀嚼ができず「癖のある噛み方」になってしまいます。

また、乳歯の並び方が乱れているとしっかり噛むことができません。
食材をしっかり噛むことで、栄養やエネルギーをしっかり消化・吸収できるようになります。しかし歯並びが悪いとそれができません。
乳歯が生えている小さな子供の場合、消化・吸収の悪さは、成長に影響します。そのため、乳歯であっても歯並びを治して、しっかり噛む必要があるのです。

乳歯には「発音を学ばせる」役割もあります。正しく発音するには、喉と舌と歯と唇をしっかり連動させる必要があります。喉、舌、唇は発話者の意図で動かすことができますが、歯は動かすことができません。そのため、歯並びが悪いと喉・舌・歯・唇の連携が乱れてしまい正しい発音がしにくくなります。
その癖が永久歯に生え代わった後にも続いてしまうと、活舌が悪くなったりサ行やタ行が言いにくくなったりしてしまいます。

歯科矯正したほうがよい乳歯の状態とは
歯科矯正したほうがよい乳歯の状態とは

親が見て乳歯の乱れが明確なときは、すぐに歯科矯正を受けたほうがいいでしょう。ただ親が見た範囲では矯正まで必要なのかどうか迷うことがあります。
その場合、矯正歯科クリニックに相談したほうがいいのですが、一般の人でもわかる判断基準があります。

子供の乳歯の状態が次のようになっていたら、早い段階で矯正歯科クリニックに子供を連れて行ったほうがいいでしょう。
■受け口になっている
■出っ歯になっている
■開咬(かいこう)している
■交叉咬合(こうさこうごう)している

受け口は前歯の歯並びの問題です。通常、噛んだ状態の前歯は、上の前歯が前に出で、下の前歯が後ろになって重なります。しかし受け口は、上の前歯が後ろ、下の前歯が前の状態で重なります。

出っ歯は指しゃぶりなどで悪化しますが、遺伝的な要素もあります。乳歯が出っ歯のままだと、それに導かれて永久歯も出っ歯になってしまいます。

開咬とは奥歯を噛んでいる状態なのに、上下の前歯が重ならずすき間ができてしまう状態です。これでは空気が漏れてうまく発音できません。

交叉咬合は奥歯の横ずれの問題です。通常、奥歯を噛むと上の奥歯が少し頬側に出て、下の奥歯が少し下側に出ます。交叉咬合ではそれが逆になります。

乳歯の段階で矯正しないと、永久歯も「この状態」になりかねないのです。

歯並びはなぜ悪くなるのか

歯並びが悪くなる理由は、主に2つが考えられています。
1つは遺伝です。ただ、歯並びの悪さがそのまま遺伝するわけではありません。歯並びの影響する遺伝は「大きな歯」と「小さな顎」です。小さな顎のなかに大きな歯が生えようとすると、それぞれの歯が場所の取り合いになって並び方が乱れてしまうのです。

歯並びが悪くなる2つ目の理由は、永久歯が生えるときのタイミングです。通常、永久歯は、乳歯が抜けるとそれに導かれるように生えていきます。しかし永久歯が歯肉のなかで十分に育つ前に乳歯が抜けてしまうと、永久歯が生えるまでに時間が空いてしまいます。この状態だと、乳歯が永久歯を「正しいルート」に導くことができません。それで永久歯が好き勝手な場所に生えてしまうのです。

まとめ~「いずれ抜ける」という考えを捨てる

歯並びが悪いと、歯磨きの磨き残しが多くなるので虫歯になるリスクが高まります。親は「乳歯はいずれ抜けてなくなるからよい」という考えは捨てて、乳歯の虫歯も乳歯の歯並びも早めに治療に取りかかったほうがいいでしょう。