矯正歯科 コラム
矯正歯科
2018.07.22

受け口は成長すると治しにくい!早期治療をおすすめします

はじめに

もし自分のお子さんが受け口だったら、早めに歯科クリニックに連れて行き歯医者に診てもらってください。受け口の治療は3歳から始めてもよいくらい「早期が重要」です。
受け口というと審美性が注目されがちですが、もっと深刻な問題があります。それは「噛みにくい」「飲み込みにくい」という支障が生じることです。いずれも全身の健康に関わってくるので、受け口は解消したほうがいいのです。
ところが大人になって重症化した受け口を治そうとすると、顎の骨を削る大きな手術が必要になることがあります。もちろんこの手術は全身麻酔下で行いますので、体への負担は小さくありません。
将来、手術を受けないで済むように、気がついたらすぐに受け口治療に取りかかりましょう。


そもそも受け口とは
そもそも受け口とは

受け口の正式名称は「下顎前突症」(かがくぜんとつしょう)といいます。下の顎(下顎)が前に突出している症状のことです。噛んだときに下の前歯が上の前歯より前方(唇のほう)にきます。正常の位置は、下の前歯が後ろ(喉側)、上の前歯が前です。

受け口による支障とは

受け口だと、うまく発音できません。そのため子どものころから人と会話することが苦手になり、精神的なストレスがたまります。また受け口は審美的に優れないとされているので、コンプレックスを感じる人も少なくありません。人とコミュニケーションを取りたがらない性格になってしまうかもしれません。

また受け口だと噛み合わせが悪くなるので、口のなかで食材をうまく食塊にすることができません。食塊とは食材を噛み砕いて唾液と混ぜて「ドロ状」にしたもので、食塊をつくることで胃や腸で消化吸収がしやすくなります。食塊ができないということは胃や腸がその分多く働かされるわけで、負担が増します。

食塊をつくらない癖ができると、あまり噛まずにすぐ飲み込むようになります。これでは顎が鍛えられず、子供だと顎の骨の成長が進まず、高齢者だと誤嚥(ごえん)の原因になります。
誤嚥とは、食材や飲み物を誤って飲み込んでしまうことです。食材は本来胃に落ちなければならないのですが、誤嚥すると肺に落ちてしまいます。食材のなかには口のなかの雑菌が含まれているので、誤嚥すると雑菌によって肺炎を起こしてしまいます。これは誤嚥性肺炎といい、高齢者にとっては命に関わる病気です。

また噛み合わせが悪くなると、顎の関節を駆使することになります。顎の関節を多用すると首の骨や首の筋肉に負荷がかかり、肩こりの原因になることがあります。
受け口のメリットはほとんどありません。そして受け口のデメリットは小さくありません。

なぜ受け口になるのか

受け口になる原因には、遺伝と環境の2つがあります。小さい顎と大きな歯を遺伝すると、顎にすべての歯のスペースを設けることができなくなるので歯並びが乱れ、それで受け口を形成しやすくなってしまいます。
また、「指しゃぶりが長期間に及ぶ」「口呼吸の癖がつく」「舌で下の前歯を押す癖がある」といった後天的かつ環境的な要因でも受け口につながってしまいます。

子供の受け口の治療とは
子供の受け口の治療とは

受け口の治療は子供と大人ではまったく異なります。まずは子供の受け口の治療からみてみましょう。

子供がまだ10歳未満の場合、歯医者は「ムーシールド」方式を採用するでしょう。ムーシールドはマウスピースのようなもので、夜寝る前に口のなかに入れて眠ります。朝になったら取り出します。
ムーシールドを口のなかに入れると、舌が上がるようになっていて、これで上顎が発達していくわけです。上顎が発達すると下顎より前に出るので受け口が解消するのです。

ムーシールドを使わず、歯列矯正だけで受け口が解消することもあります。
どのような治療法を採用するかは、歯医者と子供の親とで話し合いながら決めていくことになりますが、まずは親が受け口のデメリットを十分認識しておく必要があるでしょう。

大人の重症化した受け口の手術法

大人の受け口も軽症なら歯列矯正で治療しますが、重症化した受け口は顎を削る大きな手術が必要になります。
手術では、下顎の前から4番目の歯を左右両方とも抜歯し、抜歯した穴から下顎をドリルで削っていきます。それで下の前歯を引っ込めて固定します。これだけでは顎先が出っ張ってしまうので、顎先も削ります。
この手術は全身麻酔下で行うので、体への負担が小さくありません。
また費用面でも、医療保険の適用になった場合で自己負担額は50万~60万円ほどです。保険がきかない自由診療の場合、患者さんの負担は数百万円にのぼります。

医療保険が適用されるかどうかは、顎の病気「顎変形症」と診断されるかどうかで決まります。顎変形症と診断されない場合、「軽症の受け口」とみなされ、医療保険の適用外になってしまうのです。

なお受け口の骨を削る手術は一般の歯科クリニックでは行っていません。口腔外科のある病院か、形成外科クリニックで行うことになります。
最近では日帰り手術を行う形成外科クリニックもあります。

まとめ~子供の将来を考えれば迷わず歯医者へ

ご覧いただいたとおり、大人になって受け口の治療をすることはとても大変です。それならば子供が小さいうちに治療に取りかかったほうがいいでしょう。
受け口の治療では、一度受け口が解消したもののまた再発することもあります。そのような時間的なロスを考えると、1日も早く歯医者に連れて行ってあげたほうがいいでしょう。